第1条 この訓令は、久慈広域連合が行う救急業務の実施等に関して必要な事項を定め、もって適正かつ効率的な救急業務の運営を図ることを目的とする。
第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(2) 救急事故
法及び
消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「政令」という。)による救急業務の対象とする事故をいう。
第3条 救急業務は、傷病者の生命維持及び症状の悪化を防止するため、最善の措置を講ずることを指針とする。
第4条 消防長は、久慈広域連合管内の救急事情の実態を把握し、救急業務の適正な執行体制を整備するとともに、運用に万全を期するものとする。
2 消防署長は、管轄区域内の救急事情の実態を把握し、所属職員の指揮監督を行い、救急業務の適正な運用に万全を期するものとする。
3 消防長は、救急資器材の効率的な運用を期するため、関係機関と常に密接な連携を図るものとする。
4 消防長は、救急資器材の需要状況及び地域的救急事情を勘案し、救急資器材の適正な配置を行うものとする。
5 消防署長は、救急資器材の効果的な活用を図るため、常に点検及び整備を行い、適正な維持管理に努めるものとする。
第5条 救急隊員(以下「隊員」という。)は、
政令第44条第3項第1号又は第2号に該当する消防職員をもって充てるものとする。
2 救急隊に救急隊長(以下「隊長」という。)を置くものとし、次の順位により隊長となるものとする。
(3) 第3順位 階級同級の場合にあっては、先任者
3 隊長は、上司の命を受け、隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うよう努めなければならない。
4 隊員は、隊長を補佐し、効果的な救急活動を行うものとする。
(1) 救急業務に関する関係諸法令の研究に努めること。
(2) 救急業務の重要性を自覚し、知識の習得及び技術の向上に努めること。
(3) 救急業務の実施に際しては、懇切丁寧を旨とし、傷病者に羞恥又は不快の念を抱かせることのないよう言動に留意すること。
(4) 救急業務上知り得た傷病者等関係者の秘密を他に漏らさないこと。
(5) 常に救急資器材の点検及び整備を行い、使用に際しては適正を期すること。
(6) 救急自動車の運転は、安全を旨とし、特に傷病者の状態に応じた運行に配慮すること。
6 隊員として救急業務に従事するときは、救急業務実施基準(昭和39年自消甲教発第6号)第8条に規定する服装に準ずるほか、それ以外の服装で活動する場合にあっても必ず感染防止衣、マスク及びゴム手袋を着用し、清潔及び感染防止に十分配慮し活動すること。この場合において、安全を確保するため必要があるときは、ゴーグルの着用及び救急帽に代えて保安帽を着用するものとする。
第6条 救急自動車には、応急処置及び通信に必要な資器材で
別表第1に掲げるものを備えるものとする。
2 消防長は、救急自動車には、前項に定めるもののほか、応急処置、通信及び救出等に必要な資器材で、
別表第2に掲げるものを備えるよう努めるものとする。
第7条 救急活動は、救命救護を主眼とし、傷病者の観察及び必要な応急処置を行い、速やかに適応医療機関に搬送するものとする。
2 隊員の救急活動要領は、救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年7月1日消防庁告示第2号)によるほか、救急救命士の特定行為に係る事項については、久慈地域メディカルコントロール協議会が定める応急処置別救急活動要領に基づき実施するものとする。
第8条 救急隊は、消防署及び各分署に編成するものとし、救急隊の管轄区域等は、消防長が別に定める。
2
消防組織法(昭和22年法律第226号)第39条に基づく消防の相互の応援若しくは同法第44条第1項、第4項及び第5項に基づく応援出動等の措置(以下「消防相互応援等」という。)をとるとき、又は消防長が特に認めたときは、管轄区域外であっても出動することができる。
第9条 消防課長又は消防署長は、管轄区域内で救急事故の発生を覚知したときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに救急隊を出動させるものとする。
2 消防課長又は消防署長は、救急現場において円滑な救急活動を実施するため、消防隊等を出動させることができる。
第10条 消防課長又は消防署長は、通信指令室又は現場出動途上の救急自動車等から、救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
第11条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。ただし、搬送しないことが、その生命及び身体に重大な影響を及ぼすと認められる場合は、この限りでない。
第12条 隊長は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。
第13条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病の原因に犯罪、自損、交通事故又は労働災害事故の疑いがあると認めた場合は、速やかに所轄の警察署長に通報するとともに現場保存に留意するものとする。
第14条 消防課長又は消防署長は、
生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、同法第19条各項に定める機関に通知するものとする。
第15条 隊長は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときはその者の家族等に対し、傷病の程度又は状況等を連絡するよう努めるものとする。
第16条 傷病者が意識等に障害があるため所持品により身元の確認を行う必要がある場合は、警察官又は医師等の立会いのもとに行うものとする。この場合において、特に所持品の取扱いについては、十分留意するものとする。
第17条 隊長は、情報の収集のため又は救急救命処置の実施に係る同意を得るため必要と認められる場合は、関係者に同乗を求めるものとする。
2 隊長は、救急業務の実施に際し、関係者又は警察官が同乗を求めたときは、これに応ずるよう努めるものとする。ただし、傷病者の観察及び救急救命処置等の活動に支障を来す場合は、この限りでない。
第18条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合
(3) 傷病者の救出に相当の時間を要し、救急救命処置資器材での処置及び特定行為のみでは対処することが困難な場合
(4) 同時に多数の重度傷病者が発生した事故等の場合
(5) 前各号に掲げるもののほか、隊長が必要と認めた場合
2 救急自動車への医師の同乗要請は、次に掲げる場合に行うことができるものとする。
(1) 傷病者の搬送途上容態の急変により、一時的な医療処置を受けるために立ち寄った医療機関の医師が、目的医療機関まで医療を継続する必要を認めた場合
(2) 救急現場にある医師が、医師の管理のもとに医療機関に搬送する必要を認めた場合
(3) 前2号に定めるもののほか、隊長が傷病者の状態からみて医師の同乗を必要と認めた場合
第19条 現に医療機関にある傷病者を搬送する場合は、当該医療機関の医師からの要請で、かつ、搬送先医療機関が確保されている場合に行うものとする。なお、搬送にあっては、要請医療機関の医師を同乗させるものとする。ただし、医師が同乗による症状管理の必要がないと認め、搬送途上における相当な措置を講じた場合に限り医師を同乗させないで搬送することができる。
第20条 特殊疾病者の取扱いは、次に掲げるとおりとする。
(2) 前号に定めるもののほか、特殊な傷病者を対象とする場合は、関係機関又は関係者と密接な連絡をとり、適切な措置を講ずるものとする。
第21条 消防署長は、消防相互応援等については、消防長と協議するものとする。
第22条 隊員は、安全確保の基本が自己の管理にあることを認識し、救急現場における安全監視及び危険因子の排除等二次的災害の防止に努めるものとする。
第23条 隊員が、救急業務において妨害及び暴力行為を受けた場合の対応は、次の各号のとおりとする。
(1) 救急業務の継続を原則とし、隊員が暴力行為等により負傷した場合は、速やかに救護処置をとること。
(2) 妨害行為により救急業務の継続が困難な場合は、速やかに事故概要を通信指令室に報告し、必要な部隊の増援要請を行う。また、事故処理に必要がある場合は、上司の出向を併せて要請する。
(3) 隊員の被害の軽重にかかわらず、通信指令室を通じ、又は直接、現場への警察官の出場を要請し、警察官臨場後、妨害及び暴力行為の状況を速やかに報告し、救急隊員の安全確保及び救急業務への協力を依頼する。また、臨場警察官の所属、階級及び氏名を記録すること。
(4) 救急自動車及び救急資器材、並びに救急隊員に対する有形、無形の妨害行為があった場合は、損傷、損壊、又は負傷の有無にかかわらず、前号と同様の措置をとること。
(5) 妨害者への対応は、相手を不用意に刺激することのないよう、冷静沈着かつ毅然たる態度で接すること。
(6) 隊長は、傷病者及び家族その他関係者に対し、隊員が行った措置状況を説明し理解を得ること。
(7) 隊長は、現場保存に努めるとともに、証拠となる物件や目撃者を確保し、証人の依頼をするとともに、住所、氏名、電話番号、目撃位置及び内容等を聴取し、記録すること。
(8) 隊長は、帰署後速やかに、妨害、暴力行為の内容を消防署長に報告するものとする。
2 前項各号に定めるものの他、妨害、暴力行為の取扱いについて必要な事項は、別に定める。
第24条 消防署長は、次に定めるところにより、救急自動車及び救急資器材の消毒を行うものとする。
2 消防署長は、前項第1号及び第3号による消毒をしたときは、その旨を消毒実施表(
様式第1号)に記録するものとする。
3 消毒に必要な消毒器具等は、救急隊を置く署所に設置するものとする。
第25条 消防長は、救急業務により排出される廃棄物(以下「感染性廃棄物」という。)の処理について、必要な管理体制を講ずるものとする。
2 消防署長は、救急業務の実施により感染性廃棄物を生じたときは、当該廃棄物を
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づいて処理しなければならない。
3 前項に定めるものの他、感染性廃棄物の処理について必要な事項は、別に定める。
第26条 隊長は、救急活動を行った場合は、救急活動報告書(
様式第2号)により消防署長に報告するものとする。
2 隊長は、傷病者を搬送し、医療機関に引き渡した場合は、救急傷病者搬送引受書(
様式第3号)に当該事実を確認する医師の署名又は押印を受けるとともに、傷病名、傷病程度等について、当該医師の所見を聴取し記録しておくものとする。
3 隊長は、応急処置等を行うに際し、医師の指示があった場合には、当該医師の氏名及びその指示内容を記録しておくものとする。
4 消防署長は、管轄区域内において次に掲げる救急事故が発生した場合は、直ちに消防長に報告するものとする。
(4) 覚知から救助完了までの所要時間が5時間以上を要した救助事故
(5) その他報道機関に取り上げられる等社会的影響度が高い救急・救助事故
第27条 救急隊員の行う救急救命処置に係る事後検証は、隊員が処置した心肺機能停止症例又は医師及び消防署長が必要と認めた症例とし、久慈地域メディカルコントロール協議会より受けるものとする。
第28条 消防署長は、傷病者又は傷病者の委任を受けた者から救急搬送の証明について救急搬送証明申請書(
様式第4号)により申請があった場合は、事実関係を調査のうえ救急搬送証明書(
様式第5号)を交付するものとする。
第29条 消防長は、救急業務の円滑な推進を図るため、救急業務の実施について医療機関及び救急に関する事務を行っている団体等と情報の交換及び密接な連絡を取るものとする。
2 前項の規定により知り得た医療機関の空床状況等の情報については、必要に応じ、近接する他の消防本部と相互に情報を交換するように努めるものとする。
3 隊長は、心肺機能停止に係る応急処置を行った傷病者について、収容医療機関の退院又は死亡までの経過を調査するものとする。
第30条 消防長は、特殊な救急事故により同時に多数の傷病者が発生した場合における救急活動の実施について、救急業務計画を作成し、毎年1回以上この計画に基づく訓練を行うよう努めるものとする。
第31条 消防長は、隊員に対し、救急業務を行うに必要な学術及び技能を習得させるため、常に各種医学会及びシンポジウム等に参加させるとともに、教育訓練を行うよう努めるものとする。
2 消防署長は、救急業務等に関する知識及び技術の向上を図るため、必要と認めた場合は、救急業務に関する検討会等を開くことができる。
3 隊員は、救急活動に必要な学術的知識及び技術の習得並びに向上のため、自己啓発に努めるものとする。
第32条 消防長は、救急救命士の行う救命処置等の質の維持及び向上を図るため、救急救命士に久慈地域メディカルコントロール協議会で定められた病院実習を受講させなければならない。
2 消防長は、前項の病院実習を受講させるにあたり、実習を依頼する医療機関との間に委託契約を締結しなければならない。
第32条の2 消防長は、前条の教育及び訓練を行うため、救急救命士のうちから、別に定めるところにより指導救命士を任命することができる。
第33条 民間の事業者が搬送用自動車等を使用し、患者等の搬送業務を行う事業に対する指導及び認定については、別に定めるところにより行うものとする。
第34条 消防長は、救急活動の緊急性及び公共性について住民に理解を求め、救急隊を適正に運用できるよう、住民に対する応急手当の普及啓発活動を計画的に推進するものとする。
第35条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
2 久慈地区広域行政事務組合の解散の日前に、解散前の久慈地区広域行政事務組合救急業務規程(平成9年久慈地区広域行政事務組合消防本部訓令第1号)の規定によりなされた行為は、この訓令の相当規定によりなされた行為とみなす。
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応急処置等に必要な資器材T |
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血圧計 血中酸素飽和度測定器 検眼ライト 心電計 体温計 聴診器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 気道確保用資器材 吸引器一式 喉頭鏡 酸素吸入器一式 自動式人工呼吸器一式 自動体外式除細動器 手動式人工呼吸器一式 マギール鉗子 |
創傷等保護用資器材 | 固定用資器材 創傷保護用資器材 |
保温・搬送用資器材 | 雨おおい スクープストレッチャー 担架 バックボード 保温用毛布 |
感染防止・消毒用資器材 | 感染防止用資器材 消毒用資器材 |
通信用資器材 | 無線装置 |
その他の資器材 | 懐中電灯 救急バッグ トリアージタッグ 膿盆 はさみ ピンセット 分娩用資器材 冷却用資器材 |
1 気道確保用資器材は、経鼻エアーウェイ及び経口エアーウェイを含む気道確保に必要な資器材をいう。
2 吸引器一式は、吸引用カテーテルを含む口腔内等の吸引に必要な資器材をいう。
3 酸素吸入器一式は、酸素ボンベ、酸素吸入用鼻カニューレ及び酸素吸入用マスクを含む酸素吸入に必要な資器材をいう。
4 自動式人工呼吸器一式は、換気回数及び換気量が設定できるものとし、手動式人工呼吸器及び酸素吸入器に含まれる資器材と重複するものは共用できるものとする。
5 自動体外式除細動器は、救急救命士が使用するものについては、心電図波形の確認及び解析時期の選択が可能なものが望ましく、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
6 手動式人工呼吸器一式は、人工呼吸用のフェイスマスクを含む手動による人工呼吸に必要な資器材をいう。
7 固定用資器材は、副子及び頸椎固定補助器具を含む全身又は負傷部位の固定に必要な資器材をいう。
8 創傷保護用資器材は、三角巾、包帯及びガーゼを含む創傷被覆に必要な資器材をいう。
9 感染防止用資器材は、ディスポーザブル手袋、ディスポーザブルマスク、ゴーグル、N−95マスク及び感染防止衣を含む感染防止に必要な資器材をいう。
10 消毒用資器材は、各種消毒薬及び各消毒器を含む消毒に必要な資器材をいう。
11 分娩用資器材は、臍帯クリップを含む分娩に必要な資器材をいう。
12 冷却用資器材は、ディスポーザブル瞬間冷却材等とする。
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応急処置、通信及び救出等に必要な資器材 |
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血糖値測定器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 呼気二酸化炭素測定器具 自動式心マッサージ器 ショックパンツ 心肺蘇生用背板 特定行為用資器材 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡 |
通信用資器材 | 携帯電話 情報通信端末 心電図伝送等送受信機器 |
救出用資器材 | 救命綱 救命浮環 万能おの |
その他の資器材 | 汚物入れ 在宅療法継続用資器材 洗眼器 リングカッター |
その他必要と認められる資器材 |
1 自動式心マッサージ器は、地域の実情に応じて備えるものとする。
3 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡は、チューブ誘導機能を有するものとし、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
4 情報通信端末は、傷病者情報の共有や緊急度判定の支援等、救急業務の円滑化に資するための機能を有する資器材とし、地域の実情に応じて備えるものとする。
5 心電図伝送等送受信機器は、地域の実情に応じて備えるものとする。
6 在宅療法継続用資器材は、医療機関に搬送するまでの間において、在宅療法を継続するために必要な資器材とし、地域の実情に応じて備えるものとする。

様式第1号
(第24条関係)
様式第2号
(第26条関係)
様式第3号
(第26条関係)
様式第4号
(第28条関係)
様式第5号
(第28条関係)